「2024年 年頭所感」
読者の皆様、あけましておめでとうございます。
平素は嘉泉のご愛顧を頂き、誠にありがとうございます。田村酒造場 田村半十郎でございます。
昨年は業務精励の功績で、秋の黄綬褒章受章の栄誉に浴することができました。
当日は伝達式後に、皇居宮殿にて天皇陛下に拝謁を賜りました。
自分の歩んできた人生の中で、非常に感慨深い一日になったことは言うまでもありません。
最近、たびたび自分について思いを致します。
「自分はなぜ、こういう物の考え方をし、こんな性格になったのだろう」
年のせいでしょうか。創業200周年の節目を経たからでしょうか。
先代から受け継いだ気風や教育が土台にありますが、やはり社会に出て、無我夢中で駆け抜けてきたなかで出会った方々の影響が大きかったとつくづく思うのです。
福生という地の名主から始まり、代々、地酒を醸す蔵元として息づいて来た身としては、家業のことに留まらず、常に視野を広く持って、地域全体の発展を考えなくてはいけません。
●田村家の歴史
https://www.seishu-kasen.com/history
●日本と福生市と田村酒造場の二百年史
https://www.seishu-kasen.com/200th
時には問題解決に悩み、時には責任の重さにすくみ、それはもう色んな出来事があったものでした。地元の諸先輩方をはじめ、多くの方々に叱咤され、激励され、本音をぶつけ合い、一緒に笑ったり泣いたり、その結果、今の自分が形作られたのです。
出会った方々や起こった出来事が異なれば、自分はまた違った人格の人間になっていたのだろうと想像すると、不思議な気持ちがいたします。胸に去来する方々に、感謝の念は尽きません。
さて、人類は感染症に打ち克ち・・・いえ、付き合い方を覚え、アフターコロナの世界を確実に歩み始めました。
おかげさまで第二回福生蔵開きも大盛況となりました。イベントしかり、宴席や帰省など人が集まる機会が目に見えて増えました。コロナ禍でZOOM飲みやリモート勤務など変化した生活様式もありましたが、やはり人と人とが実際に顔を合わせるコミュニケーションに勝るものはありません。例えば、「空気を読む」という言葉がありますが、オンラインではとても難しい技です。
今年は薄らいでしまった親族付き合い、地域活動の再構築の年となる方々も多いでしょう。
そういったコミュニケーションのワンシーンに登場するのが「お酒」です。
お酒のいいところは、人と人とが対峙したときの独特の緊張感を緩められることです。
皆様にとって「ゆるさ」の良さも再確認できる一年となり、嘉泉がそのお役に立てれば光栄です。
本年も精進いたします。どうぞご期待ください。
田村半十郎