皆様、あけましておめでとうございます。
平素は嘉泉のご愛顧を頂き、誠にありがとうございます。田村酒造場 田村半十郎でございます。
昨年は、2つの嬉しいニュースがありました。
1つ目は、令和6年東京国税局酒類鑑評会の清酒吟醸部門で「大吟醸 對鴎」が優等賞を首席で受賞したことです。受賞蔵を代表して、田村酒造場が賞状を授与いただきました。大変光栄なことであり、蔵人をはじめ、社員一同、活気に包まれました。大吟醸 對鴎は兵庫県産山田錦を35%まで精米して醸した最高級の自信作です。ぜひ、この機会にお試しいただけましたら幸いです。
2つ目は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産に、日本の「伝統的酒造り」が登録決定したことです。酒造業界にとって、大変、励まされるニュースとなりました。2013年に登録された「和食 日本人の伝統的な食文化」に続いて、世界に認められた日本の酒造りの担い手として、一層、気負い立って臨みます。
今回の「伝統的酒造り」の登録においては、500年以上も前に原型が確立された酒造りの技、そして、「酒」と日本人の暮らしとの深い関わりが評価されています。
フランスに「テロワール」という言葉があります。
「テロワール」とは、その土地の特産物が育つ環境や気候条件、そこに住まう人々や暮らしなどを包括し、その土地ならではの個性をたたえた特産物が生まれるという概念です。
日本にくまなく在り、その土地の水で醸される日本酒は、単なる食品ではなく、氏神に捧げるお供物であり、神事や祭事、年中行事、様々な節目の宴席など、我々の暮らし・文化になくてはならないものです。まさに、テロワールの結晶といえましょう。
2025年は、世界中の多くの方に、こういった日本酒が持つ背景まで、ぐっと踏み込んで関心をお持ちいただく元年として花開くことを大いに期待をしております。
田村酒造場が参加する福生蔵開きも第3回を無事に終え、日本酒を「より知る・味わう」機会の場となっています。今年は、当蔵も、このような機会を増やすべく、主体的に動いていきたいと思います。
酒造りついては、日本酒の最大の特徴である「食中酒」としての可能性をさらに広げていく取り組みに着手いたします。米と水から作られた日本酒は、世界の様々な食文化と最も調和できる酒と確信し、既成概念にとらわれない酒造りに挑みます。
本年も精進いたします。どうぞご期待ください。
田村半十郎